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プリハードン鋼とは?【JIS規格にない!?】






<目次>

  1. プリハードン鋼とは?

  2. プリハードン鋼のメリットとデメリット

  3. 硬さを求めるならプリハードン鋼?








プリハードン鋼とは?




プリハードン鋼とは、あらかじめ中程度の硬度に熱処理をした鋼材のことを言います。プラスチック金型業界では非常によく使用されますが、メーカーブランドの鋼材でJIS規格にはなく、HPM・NAKなどといった商品が有名です。



鋼材メーカーによってさまざまで、細かな特性などもメーカーによって違いがあります。



プリハードン鋼の多くは、HRC(ロックウェル硬さ)が40程度の硬度に調整されており、機械加工が容易で、また、加工後の熱処理等も必要ないのが特徴です。





■プリハードン鋼の特徴と代表例


HPM1,HPM7,HPM-MAGIC,PXA30NAK55,NAK80,G-STAR,S-STAR,DH2F,GO40F,STAVAX(H)の特徴(日立金属)(大同特殊鋼)(ウッデホルム)


プリハードン鋼
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プリハードン鋼のメリットとデメリット




■メリット




ほとんどのプリハードン鋼は、HRC40程度の硬度がありますが、プリハードン鋼は熱処理によって被削性が高められているため、加工性に優れています。



また、機械加工後に焼き入れ・焼き戻しの熱処理を行う必要がなく、作業工程の削減することができるため、コストの削減に繫がる点もメリットです。



また、加工後に熱処理(焼き入れ・焼き戻し)をせずとも使用できるため、熱による歪み(ひずみ)を考慮する必要がありません。



プリハードン鋼は、ただ熱処理をしなくても良いだけでなく、材料の中心まで硬度が入っているものもあり、加工後に硬度のムラが少ないのもプリハードン鋼の特徴ですね。




■デメリット




デメリットとしては特にありませんが一部の製品で熱処理によって硬度を上げることができないものがあります。硬度が上がらない理由として「時効硬化」または「析出硬化」と呼ばれる方法で硬度を上げているためです。



「時効硬化」・「析出硬化」とは、急冷した合金の時間経過による常温化により、合金元素が析出し、材料が硬くなる現象のことを言います。



このように、通常の熱処理とは異なる方法で硬度を上げていることから、焼き入れ・焼き戻しをしても硬度が上がらないのです。





熱処理と言ってもさまざまな方法があり、材料の特性を活かすには硬さ等の機械的特性以外にも構成される化学成分や熱処理の方法等、より金属について理解を深める必要があります。



ただ、プリハードン鋼を使用しているのにわざわざ熱処理して硬度を上げようとすることは稀ではないかと思いますのでデメリットというほどではないです。









硬さを求めるならプリハードン鋼?




プリハードン鋼を固くしたいのであれば、表面だけではありますが窒化という処理があります。



表面だけが硬い方がいい場合もありますので、懸念される事象を十分に検証し、プリハードン鋼を使用するか、焼入れ鋼を使用するか、検討してみて下さい。



さらに硬度が必要であれば、焼入れ焼き戻し鋼を使用すればよいかと思います。金型ではダイス鋼(合金工具鋼)やハイス鋼(高速度工具鋼)のような工具鋼がよく使用されます。また、耐食性が要求される場合はステンレス系の材料も有効ですので参考にして下さい。